本日のお買い物
GOSICK 7巻
塵骸魔京 2巻
コンプティーク六月号
……ハレ晴レユカイは今日も今日とて売り切れ。
続くとは思っていなかったハルヒSS・続編
「納得いかないわ!」
バン、という音がして、長机に置いてあったチェス盤から駒が飛ぶ。
天板を砕く勢いで叩きつけられたハルヒの両の掌が出した音は
朝比奈さんを驚かせ、ついでに俺を呆れさせた。今さらだけどな。
「何がだ」
一応訊いておいてやる。俺もなかなか人間が丸くなってきてるよな。
ハルヒはギン! という擬音がこの上なく似合うほどの眼光を―――おい、
断じてお前の怒りは俺のせいじゃないんだぞ―――こちらに向けると、
「どうしてあたしたちのCDがH○Vとか山○楽器に売ってないのよっ!」
どうしてと訊くかお前は。当たり前っちゃ当たり前だぞ。
半眼で部室を見渡すと、まず目に入ったのは古泉の人畜無害スマイルだった。
余計なことは勢いづいて長々と説明しやがるくせに、今は「涼宮さんをなだめるのは
お任せしますよ」とばかりに肩をすくめている。お前は自称ハルヒの精神安定剤
じゃなかったか? こういうときに役に立て。
長門は窓際の定位置で、凶器として認定されても何ら不思議はないレベルの
分厚さを誇るハードカバーを広げていた。こいつはこいつでナノ単位程度には
苛立ちを感じている気がするのだが、勘違いだととても良い。まさか。
胸元に諸手をあてて、これはこれでいつも通りのオドオドっぷりを発揮しているのは
もちろん朝比奈さんだ。ところで朝比奈さんは今回のCDのことをどう考えてるんだろうね。
オリコン一位に、とか持ち上げてる連中もいるんだが。
「おかしいじゃない! アニメイトでもゲーマーズでも品切れだったから
一般の店で買おうと思ったら置いてないって言うのよ!? ここの管理人
なんか5、6店舗回ったらしいのに買えなかったみたいだし」
「その努力を他に向けられんのかあいつは。いや、そりゃ予想外に売れてる
みたいだが、どう転んでもアニソンなんだからそうそう置いてないだろうよ」
店の方でわざと例のCDを無視した可能性もある。CDショップだって
アニソンを売り上げランキングに載せられるほどツラの皮が厚いところは
珍しいだろう。いやさ、むしろそう思わせてくれ。俺としてはMステの
ランキングで珍妙なCDが出るのは遠慮願いたいところだしな。
「目標は一位なのよ!? それが今日オリコン見たら、いきなり落ち込んでたじゃない!
もうアレよね、もうこのCD買ってくれた人達には更に10枚ずつぐらいの
大人買いを命令するわ! もちろんオリコン参加店で!」
えらく無体なことを言っている。しかしこいつがこんなことを言い出すと
非常によろしくないな。こいつの発言のしわ寄せはだいたい団員である
俺たちに回ってきちまうし、俺はもう朝比奈さんにも長門にも負担をかけたくない。
ハルヒのことだ、どうせ朝比奈さんをキャンペーンガールか何かに仕立て上げて、
ものはついでとばかりに長門にも何かをやらせるだろう。宣伝担当なら
まだマシかもしれないが、長門にそんなこと任せてamazonのサーバーが
パンクしたとしても俺は不思議に思ってやらんからな。むしろそのくらいなら良い方だ。
是が非でも厄介事にはならないでくれよ。神様なんて信じちゃいないが、
せめてそんくらいのささやかな願いぐらいは叶ったって誰も文句はないだろう。
……問題は、俺が願う神様ってのがヘタすればハルヒに直結していかねないって
ことだな。
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