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徒然とつらつらと、無為かつ怠惰な生活を書き綴ります。
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妄想カブト

 最終話のひとつ前(48話)のBパートだけを抜き出した感じです。
 アレに私的思考の世界観謎解きを加えただけのシロモノですが……どうぞ
お楽しみ頂ければ幸いです。




「私は負けた」

 それが──
 『元』ZECT最高権力者、加賀美陸の告げる真実の、最初の一言だった。
 無人のまま放置された病院には包帯だらけの痛ましい姿となった陸、
そしてZECTにおいて実質最高の戦闘力を──戦いの神ガタックを──擁する
田所班の長である田所、部下の岬、加賀美新、そして高鳥蓮華の姿があり、

「負けた……誰にだよ?」

 加賀美の問いに、陸は憔悴した表情で答える。

「ネイティブである根岸と……三島だ」
「な──」

 加賀美はその答えに愕然とする。驚いているのは彼だけではなく、
皆が目を見開いて今の一言の意味を咀嚼しようとしていた。

「待って下さい、三島さんが──そんな!?」

 元々は彼女の部下だった蓮華が混乱を口に出す。
 三島は陸の側近の中でも最も力を持っていた人間だ。彼女がZECTの
ナンバー2であったと言っても過言ではない。そんな彼女が陸を裏切り、
あまつさえネイティブだったなどと、そう簡単に信じられることではない。
 加えて、根岸とは。

「どういうことだ親父……根岸さんは平和のために親父のZECTに
 協力してたんだろ!?」
「……順を追って話そう。まず、ネイティブとは何なのかだ」

 陸は仰臥の姿勢から上半身だけを起こすと、静かな口調で語り出す。

「そこにいる田所君や立川大吾を始めとしたネイティブは……地球に
 人類が生じるより前からこの星に来訪していた」
「……何だって?」
「本当の話よ」

 疑問符を浮かべる加賀美に、答えたのは田所だった。彼女はいつも
鋭い目付きを少し伏せながら、

「隕石に取り付いていた私たち『ワーム』が地球に漂着した時、
 生きていくには地球の環境は悪かった……だから私たちは長い間
 眠っていたの。自分たちの身体を地球に適合するように進化させて。
 ……あの角は、その進化の中で手に入れたものよ」
「だから……『先住民(ネイティブ)』と?」

 岬の言葉に頷く田所。陸は生気を失った瞳でそちらを見やると、

「話を続けていいかね? ──かくて、ネイティブはつい最近に
 なって目覚め、しかし環境に適合したために人を襲うことなく
 少しずつ人間社会へ溶け込んだ。それが戦時中のことだ」

 加賀美は陸の言葉を胸中で咀嚼する。戦時中のことなど想像するしか
ないが、多くの人が死んでいったことは知識として持っている。
死んだ筈の誰かが帰還したところで、誰も不思議に思わない程度には。

「人ではないが、人の友人となれる者。彼らは確かに異形だが、
 それと知られぬ限り我々の間には平穏が保たれる……筈、だった」

 そうならなかったという意を込めた言葉を田所が継ぐ。神妙に、
そして厳格に。

「三十五年前、私たちネイティブは同族の襲撃を察知したの」
「それが──」
「渋谷隕石」

 戦慄。自分たちが戦ってきたものは、実は過去からの延長線上にしか
過ぎなかったのだという事実に心が揺さぶられ――

「そして」

 陸の言葉。

「ネイティブが忌むべき同胞を駆逐するために人間と共同で創り出した、
 『ネイティブのための』戦闘用装甲服……それがライダーシステムの正体だ」
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