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徒然とつらつらと、無為かつ怠惰な生活を書き綴ります。
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 鶴翼陣型で迫る紅色の直射弾。絶愛の檻で回避という選択肢を奪った上で、大量の
弾幕でフェイトを墜とすつもりなのだろう。
 それに対して、もはや小細工も何もない。

<Please  intercept  it. >
「もちろん」

 諸手で握りしめたバルディッシュ・ザンバーをコンパクトに振るう。
 
「消えろッ!」

 帯状に広がるまでに広がった弾幕を、金色の魔力刃が舐めた。残滓を
散らせて直射弾が消滅する。

「……いつまで保つかしらね!」

 更にもう一波。先程よりも規模の大きい弾幕がフェイトへと撃ち込まれる。

(よし……このまま……)

 幾度も弾幕を切り伏せていけば、少しずつだが隙も生まれる。アララ・クランが
業を煮やして一気に勝負を決めるべく大技を出してきたら、その隙にこの荊を
スプライトザンバーで一掃する。言葉としては単純なだけの、しかし困難極まる
作戦ではある。
 問題は……それまでにフェイトが充分魔力を残していられるかどうかで。

(迷っちゃ駄目だ)

 第三陣。カートリッジロード。鈍ってきた切れ味を再補強する。
 
「……はぁぁぁぁッ!!」



 

 第何陣か。それすらも頭にない。50を決して下るまいということぐらいは
何となく勘で理解していたが。
 10発の攻撃に1発の反撃。100発の弾幕に1発の砲撃。圧倒的な数の暴力に
晒されて、フェイトはそれでも立っていた。切り払えなかった魔力弾を
バリアジャケットで受け、ところどころ傷を負いながらも。ザンバーに込められた
魔力もフェイト自身の闘志も、決して衰えてはいない。

(……もう、少し)

「頑張ったわね……お嬢ちゃん。でも……」

 アララの――本当に心の底から労うような――声すらも耳には届かない。
ただその挙動から如何な攻撃が来るか。それだけに集中する。

「もう終わりよ!」

 大振りな攻撃。おそらくこれさえ凌げばスプライトザンバーを放つだけの
隙が出来るはずだ。
 フェイトは痺れ始めた両腕に再度活を入れた。これさえ。これさえ凌げば。

「……うぁ、ぁぁぁッ!」

 金色の魔力刃を全力で振り抜く。ところどころ制御し損ない、ザンバーの
周囲にアーク放電が起こる。だがそれも関係ない。
 魔力が炸裂。
 弾幕のカーテンが裂けた。そしてその向こうに。

(……しまった)

 更に一発、それなりの規模の魔力弾が迫っていた。威力はそれほど大きくは
ないが直撃コースである。フェイトの意識を奪い去るには充分だろう。
 
「……こんな、ところで――」
「――負けそうになるのは、一人で背負い込んでるからだと思うんだがな」

 不意に。
 上空からの魔力射撃。

「……え?」

 青い光が爆ぜて、目の前の驚異が軽い音をたてて消滅するのを、フェイトは
はっきりと見ていた。そして、

「……ここまでだ。ねじれた城の守護者」

 音もなく、黒衣を鎧った少年が上空から降下してくる。その後ろ姿に、
フェイトは全身の緊張が一気に弛緩するのを感じた。
 強くて無愛想な上司。そして優しくて照れ屋な義兄。

「……クロノ……!」



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1989/08/07
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