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徒然とつらつらと、無為かつ怠惰な生活を書き綴ります。
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「……うッ……!」

 荊の奔流がフェイトを飲み込み、その柔肌の数ヶ所に裂傷を残す。
『純愛の檻』は少女の機動を阻害するように広がり、やがて球状の天蓋を造り上げて
その動きを停止した。
 
<Are you ok, Sir?>

 聞き慣れた声に、我に返る。
 フェイトと同じく所々に傷を負ったバルディッシュが、その身に填め込まれた
宝玉を光らせて出した声だった。形態はザンバーフォーム。必勝の機をいなされて
自失していた持ち主に代わり、『彼』自身の判断で変形した結果である。

(……魔力刃で……荊を切り伏せてくれたってこと……?)

 展開された幅広の魔力刃。もしもこれがなければ、今頃フェイトは致命傷を
負っていたかも知れない。

(そう……か……)
「ありがとう、バルディッシュ……ごめんね」
(分かってたはずだった……私はまだまだ未熟だってこと。私が自信を持って
 撃った攻撃だって、平気でいなせるぐらい強い人がいるってことは)

 言葉と共に魔力を循環させる。肩、腕、腰、脚。そして最早体の一部と言っても
良いぐらいにいつも手の中にいた相棒に、魔力を漲らせる。
 そしてザンバーの切っ先を、未だ虚空に浮かぶ女のシルエットへと向けた。 

<Condition all green>
「仕切り直しだ……!」



 無数の幻影を作り上げながら盾が旋回、鋼の軛が蜘蛛の巣のように重なる中を、
意志があるかのように不規則な軌道で紙一重の回避を見せて翔ぶ。

(……捉えきれん!)

 ザフィーラはそう判断すると、周囲の壁面から無数に伸びる拘束条を自分の周りに
壁のように張り巡らせた。巨大な鋼の鎖が、隙間なく絶対防御を生み出す。

「砕け盾笛――我が絶技よ!」
「させるかッ!」

 四方八方から、二枚しかないはずの盾が襲いかかる。鋼の哭き声が響き渡る。

(……我が軛と同硬度だというのか?)

 だとすれば、いつまでもこうしているわけにはいかない。
 ザフィーラは鋼鉄の天蓋に僅かばかりの間隙を作り、一息にそこから飛び出した。

「……みすみす逃がすと思うな!」

 迫るはアノレゴス=ダンデオンが誇る『双面の護り』を成す二枚の盾笛。
飛翔する一枚に蒼き狼は無造作に噛みつき、首を振って残る一枚にそれを叩きつけた。
 虚空を蹴り、今やがら空きのダンデオンへと肉薄する――

「無駄だ」
「くっ!?」

 振り飛ばしたはずの盾笛が瞬きの間もなく目の前に現れた。前肢に最大限の力を
込めて、無理矢理にベクトルを変化させる。
 距離が開いて、

「……愉しいな、騎士よ」
「我はそうは思わん。急いでいると言ったはずだが?」





 
 
 
 
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