徒然とつらつらと、無為かつ怠惰な生活を書き綴ります。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「……うッ……!」 荊の奔流がフェイトを飲み込み、その柔肌の数ヶ所に裂傷を残す。 『純愛の檻』は少女の機動を阻害するように広がり、やがて球状の天蓋を造り上げて その動きを停止した。 <Are you ok, Sir?> 聞き慣れた声に、我に返る。 フェイトと同じく所々に傷を負ったバルディッシュが、その身に填め込まれた 宝玉を光らせて出した声だった。形態はザンバーフォーム。必勝の機をいなされて 自失していた持ち主に代わり、『彼』自身の判断で変形した結果である。 (……魔力刃で……荊を切り伏せてくれたってこと……?) 展開された幅広の魔力刃。もしもこれがなければ、今頃フェイトは致命傷を 負っていたかも知れない。 (そう……か……) 「ありがとう、バルディッシュ……ごめんね」 (分かってたはずだった……私はまだまだ未熟だってこと。私が自信を持って 撃った攻撃だって、平気でいなせるぐらい強い人がいるってことは) 言葉と共に魔力を循環させる。肩、腕、腰、脚。そして最早体の一部と言っても 良いぐらいにいつも手の中にいた相棒に、魔力を漲らせる。 そしてザンバーの切っ先を、未だ虚空に浮かぶ女のシルエットへと向けた。 <Condition all green> 「仕切り直しだ……!」 無数の幻影を作り上げながら盾が旋回、鋼の軛が蜘蛛の巣のように重なる中を、 意志があるかのように不規則な軌道で紙一重の回避を見せて翔ぶ。 (……捉えきれん!) ザフィーラはそう判断すると、周囲の壁面から無数に伸びる拘束条を自分の周りに 壁のように張り巡らせた。巨大な鋼の鎖が、隙間なく絶対防御を生み出す。 「砕け盾笛――我が絶技よ!」 「させるかッ!」 四方八方から、二枚しかないはずの盾が襲いかかる。鋼の哭き声が響き渡る。 (……我が軛と同硬度だというのか?) だとすれば、いつまでもこうしているわけにはいかない。 ザフィーラは鋼鉄の天蓋に僅かばかりの間隙を作り、一息にそこから飛び出した。 「……みすみす逃がすと思うな!」 迫るはアノレゴス=ダンデオンが誇る『双面の護り』を成す二枚の盾笛。 飛翔する一枚に蒼き狼は無造作に噛みつき、首を振って残る一枚にそれを叩きつけた。 虚空を蹴り、今やがら空きのダンデオンへと肉薄する―― 「無駄だ」 「くっ!?」 振り飛ばしたはずの盾笛が瞬きの間もなく目の前に現れた。前肢に最大限の力を 込めて、無理矢理にベクトルを変化させる。 距離が開いて、 「……愉しいな、騎士よ」 「我はそうは思わん。急いでいると言ったはずだが?」 PR ![]() ![]() |
プロフィール
カウンター
ブログ内検索
アクセス解析
|